8月9日の勉強会は、前半はペルセウス座流星群とその撮影についての話、後半はベランダで望遠鏡の操作練習をしました。 

流星の撮影はほとんど運頼みですが、デジタルカメラの基本的な設定が間違っていると、どうにもなりません。基本的な天体撮影の知識から始めると非常に長い説明になるので、今回はそれは知っているものとして話をしました。

下の画像は2021年のペルセウス座流星群のものです。


天体写真の基本的なことは、最後に簡単に付け加えました。しかしまったく知識がない場合は、天体写真の撮り方を書いた本を読むべきだと思います。

以下は勉強会の資料です。

2023年8月星空案内人勉強会資料                   2023.08.09 

ペルセウス座流星群2023 

極大は8月13日16時(夕方)なので、ピークは日本では捉えられない。沖縄では放射点が昇ってくるのは20時30分過ぎなので、その前にはほとんど流星は見られない。 

ただし放射点が低い時間帯は、長大な流星がまれに見られることがある。興味がある人は放射点の昇る時刻に合わせて、早めに観測地で待機してもいいかもしれない。 

この時期は他の流星群(みずがめ座δ南・やぎ座α・はくちょう座κ)も活動しているが、流れる方向が違うのとペルセ群の流星は早いので、たぶん区別できる。 

 

観察条件のいい日時と、1時間あたりの見える流星数の予想。天文ガイド9月号を参考にしたが、一般の人が実際にひとりで見える数は、その半分程度かもしれない。 

① 14日0時~3時(13日の夜) 60個程度  

② 13日21時~0時 10個程度 ※経路の長い流星が見られるかも。 

③ 13日0時~3時(12日の夜) 50個程度 

 

流星観察のポイント 

1.観察は長時間になる。 

 ・サマーベッドやイス等、楽な姿勢で見ること。 

 ・夏なので虫除け薬と長袖の上着や長ズボンを着用。半袖Tシャツにサンダルは危険。 

 ・ビール等は厳禁。虫が寄ってきて大変なことになる。 

2.有名観察地(知念岬公園等)には人がたくさん来る。 

 ・駐車場では他の車に注意。見えにくい服装で地面に寝ていたら非常に危険。 

 ・逆に人がいない場所では安全は各自で確保すること。複数人で行くとか。 

 ・万が一に供えて、スマホの充電等、連絡手段は確保しておくこと。 

 ・人が多い場所では光も多い。車のヘッドライトで写真を邪魔されても仕方ない。 

 

流星写真の撮り方 

流星は写りにくい。肉眼で明るく見えても、意外なほど小さく暗く写る。 

撮影にはデジカメが必要で、スマホでは根気に加えて幸運がないと撮影は難しい。 

流星は感度が高いほど、絞りが明るいほど写りやすい。シャッタースピードは長くても流星が写りやすくなるわけではない。 

デジカメ設定の基本 

カメラの設定は、絞り開放、感度はISO1600~3200、シャッタースピードは10秒~15秒を基本として、露出オーバーにならないよう調整してたくさん撮影しよう。 

シャッタースピードを15秒にしても白飛びしないなら、感度を上げたり、ャッタースピードを30秒まで伸ばしてみよう。ただしシャッタースピードが長すぎると星は伸びる。 

流星撮影について 

① 基本は固定撮影、デジカメと三脚があれば撮影可能。星座写真と同じ撮り方。 

② 露出オーバーにならないよう気をつける。露出オーバーだと写った流星が消える。 

③ 雲が多かったらシャッタースピードは短めに。写った流星が雲で消えてしまう。 

④ 感度を上げるほど流星は写りやすい。星がよく見える場所ほど流星も写りやすい。 

 

最低限必要なもの 

デジタルカメラ(一眼レフやミラーレスが最適、コンパクトカメラでは星が写せない機種もある 

三脚 (できるだけしっかりしたもの) 

 ※ スマートフォンでは高級機種でも非常に幸運でないと無理 

 

あると便利なもの ・デジカメ用モコン  ・予備のバッテリー  ・シャッター代わりの黒い紙 

できると便利な設定  ・タイムラプス動画用設定(最近の機種なら可能なものが多い) 

 

撮影レンズの知識 

 広角レンズを使うと、流星は入りやすくなるが流星が短く写る。 

 広角レンズを使うと、暗い流星は写りにくい。 

 レンズが広角でなくなるほど暗い流星が写りやすい。(焦点距離が長いほど暗い星が写る) 

 レンズが広角でなくなるほど、写る範囲は狭くなるので流星の写る確率は減る。 

レンズの選択 

 広角レンズを使って、流星を高確率で写すか(写る流星は小さくなる) 

広角でないレンズ(標準レンズ)で流星を大きく撮ることに賭けるか(確率は低い)  

 

カメラを向ける方向について 

放射点の近くは流星は多いが、短い流星が多い。 

放射点そのもの(ペルセウス座)は流星はそれほど多くない。 

放射点から遠いほど、長い流星が出るけど数は少ない。 

光害がある方向は、画像がすぐに露出オーバーになりやすい。 

 

おすすめの方向(肉眼で見る場合も同じ) 

1.夏の大三角・・・流星が写らなくても天の川が写る。 

2.カシオペヤからはくちょう・・・放射点にそこそこ近いので流星が写りやすいかも。 

3,いて座付近・・・数は少ないけど長い流星が写るかも。写る確率は低いけど。 

4.放射点付近・・・広角レンズで放射点から流星が出てくる様子を狙ってみる。 

 

 

天体写真撮影(流星写真)の基本的なこと 

① 天体写真は天の川が見えるような環境で撮影した方がいい。市街地でも写ることは写るが、かなり見劣りする。 

② 天体写真ではピント、シャッタースピード、絞り、感度はすべて手動で設定しないといけない。その方法は夜になる前に確認しておくこと。暗い中で説明書を見ながらでは、とても面倒でうまくいかないことが多い。 

③ デジタルカメラはたくさん撮影してもプリントしなければお金はかからないので、出来るだけ数多く撮影してみること。露出を変えてみたり、構図を変えてみたり。そうしているうちに上達するはず。 

④ 天体写真の撮り方の本などを積極的に参考にしよう。たとえば星座を目立たせるにはソフトフィルターを使うとか、星を流れないで写す露出時間など、ポイントが書かれ   ている。 

⑤ 天体写真を撮るのに必要な用語、道具についてはちゃんと理解しよう。 

⑥ 赤道儀等の道具については最初にそろえなくていい。手元にあるもので始めてみて、必要なものを順に買いそろえる方法がいい。買う前にインターネット等で広く情報を集めれば、「買ったけど思ったのと違っていた」等の無駄なものを買わずにすむ。


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