2023年 6月14日の星空案内人勉強会の資料です。今回は「七夕観望会をやってみよう」というテーマで、各自で観望会を開催する際の話のネタを準備しました。
七夕は一般の人の関心が星に向けられる、数少ない行事です。この機会に、家族や友人等で観望会をやってみようというのが今回の勉強会の趣旨です。
資料は、観望や話のネタになりそうな天文データです。ただし一般的な七夕の話はよく知られているので、省略しました。
勉強会に参加する方は、楽しそうな観望会のネタがあればぜひ提供してください。
※資料の後半は、昨年12月の勉強会に配布した資料と同じものです。観望会を組み立てる上で必要かもしれないと考えて、今回追加しました。
2023年7月勉強会資料 星空案内人勉強会 2023/06/14
2023年7月7日の観望会の材料(話と観望のネタ)
① 日没は19時27分。日没の時刻は6月21日の夏至とほぼ同じ。暗くなるのが遅い。
② 地球が遠日点を通過(1.0167天文単位)…「夏は太陽が近いから暑い説」は間違い
ちなみに地球が近日点を通過するのは1月5日(0.9833天文単位)
③ 夕方の西空で金星と火星が接近して見える(火星は暗くなっていて目立たない)
金星は7月10日に最大光度。マイナス4.5等級、距離0.645天文単位、視直径37秒
火星はすでに地球から遠く小さく暗い。1.7等級、距離2.25天文単位、視直径4.2秒
火星の隣に見えるレグルスは1.36等級。火星より明るい。
④ 七夕のおりひめ(ベガ)、ひこぼし(アルタイル)は午後8時には東の低空にあり、空もま
だ明るくて街中ではとても見えにくい。特にアルタイルは見えない。
午後8時30分にはアルタイルの光度が20度になり、やっと見えるようになるはず。
本来の七夕(旧暦)の頃は日没後暗くなると天頂にあって見やすい。
⑤北の空で北斗七星が見やすい。北斗七星から北極星が探しやすい。
⑥ 天の川は20時30分に南~北東の低空で見えにくい。もっと遅い時間か、8月なら
見やすい。光害の少ない場所で、月の出ていない時間帯でないと見えない。
⑦ 2023年7月7日の月の出は22時51分。月出の30分前に土星が東の空に出る。
土星が観望できる高度に上がるのは深夜。観望会をおこなう時間帯で土星を見せるに
は、8月後半からになる。
これらのネタを参考にしながら、家族や友人等を相手に、独自の観望会をやってみよう。
「教える」ではなく「一緒に楽しむ」という気持ちでやるといいと思う。
※ 以下は2022年12月の勉強会資料2ページ以降と同じもの。観望会開催の参考資料。
天体観望会の基本的な流れ
一般的な観望会の場合(公民館主催、参加者は市民、場所は公園という設定)
※ 機材の準備は少なくとも開始30分前には完了しておく
① 受付、参加者の出欠確認(受付で保険料を徴収することも)
② 導入:あいさつ、注意事項等を伝える
③ 観望開始:星座の説明、望遠鏡で天体の観望
④ 望遠鏡を別の天体に向けて観望継続
⑤ 観望終了、質問コーナー、おわりのあいさつと注意事項等伝達
⑥ 片づけ、撤収
事前に必要な準備
① 必要な人員(受付、機材運搬、星空解説)の確保・・・望遠鏡1台に操作係ひとり必要
② 必要な機材(天体望遠鏡や双眼鏡)の確保・・・望遠鏡が少ないと観望に時間がかかる
③ 開催場所の確保(使用手続き等も)・・・公共の公園は使用申請が必要なことも多い。
国際通り等の道路使用許可は非常に面倒。商業施設は交渉により可能なこともあるの
で、街中で開催許可を取るなら商業施設の敷地内も検討する価値はある。
観望会を開催する時の注意事項
参加者に合わせた話題を選ぶ
例:親子参加が基本の場合(PTA主催等)は、難しい話は無理。小学生でもわかる話をするべき。大人と親子半々の場合は、大人と子供向けの両方に合わせて話すと、大人に飽きられずにすむ。
どこで見せるのか(場所)
安全を優先するか暗さ優先か・・・一般的には多少明るくても安全優先を考える。
必ず下見をすること、危険な場所がないか把握すること。
どの天体を見せるのか(対象天体)
参加者と開催時期等により決める。街の中では星雲は無理、月惑星や恒星が無難。
準備できる機材で何が見せられるのかが決まることもある。望遠鏡がなければ月
や惑星は無理。その場合は肉眼で楽しめる方法を考える。
安全管理について
安全に十分気を配ること
①駐車場で開催する場合は観察場所、機材を置く場所に注意。
※ 駐車場は基本的におすすめしないが、場所によっては駐車場が広くてそこが最適
という場合もある。駐車場の出入口や車の通り道は避けるのは基本。
②主催者はその夜の救急病院と電話番号を確認すること。その日の新聞に出ている。
③緊急の連絡に備えてスマホの充電を確認すること。
④開催場所は事前に下見をして、危険な場所は参加者が近寄らないよう呼びかける。
天気が悪い時の対応
天候不良の場合、中止なのか曇りメニューでやるのかを先に決めておいて、参加者に
通知しておく。中止の場合は連絡方法も考えておく(電話、メール、ツイッター等)。
参加者の募集方法・・・参加者を集めるのが大変、決定打はない
新聞の情報コーナーは無料だが若い人はあまり見ない
ツイッターやネットは手軽だが情報は高齢者に伝わりにくい
チラシやポスターは置く場所を見つけるのが大変
参加費・・・有料か無料は主催者が決める。観光地では星空ツアーが普通になってきた。
企業主催の星空ツアーは基本的に有料。最近は星空が商売として成り立つようになった
ただし有料の催しは公園使用の許可と公園使用料が必要(那覇市の場合)
参加費無料なら使用料無料のこともある。個人的な催しは申請不要のこともあるが場所
により違う。
イベント保険をかけて保険料を徴収するか(100~300円程度)検討する
社会福祉協議会へボランティア登録しボランティア保険を検討(制限は多いが安い)
無料の観望会では保険をかけないことも多いと思われる
観望会の話の流れを組み立てる
① その日に見える天体を順に見せていく
(例) 2023年1月、西から金星、土星、木星、火星と見せる
(例) 2023年6月、惑星は金星だけ、あとは春の星座を説明
必要な機材:惑星観望用の望遠鏡と操作できる人
② 特別な天文現象に合わせて観望する
(例) 2023年3月24日、金星食、月と金星を説明し金星食観察
必要機材:双眼鏡や望遠鏡人数分、または望遠鏡の映像を写すモニターやプロジェクタ
(例) 2023年4月20日、部分日食(昼間)を観察する
必要機材:日食メガネ、太陽観察専用望遠鏡やその画像を写すモニター
特別な天文現象の場合は場所の選定と機材の準備が重要
天体観望会のイメージをつかむ方法
① いくつかの観望会に参加する(何をどうやっているのかがわかる)
② 公民館や公共主催の観望会を手伝う(現場での練習になる)
③ 個人主催で、知人友人対象に小規模な観望会をやってみる
まとめ
何回も観望会に参加したり開催しているうちに、自分の得意な方法と、やり
たい観望会の形がわかってくる。
自分の得意な方法でおこなうのが一番実力を出せるはず。その方法を見つけ
て、それを高めていくのが一番いい。
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